平素より格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
2024年3月15日、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」が閣議決定されました。この法律案において、有用資源のリサイクルは、脱炭素化のみならず、経済安全保障や地方創生などの社会的な課題解決に有効とされ、資源循環に従事する事業者の競争力強化が求められています。当社としてこのような時代の要請をひたむきに受け止めて前進する決意を新たにしました。
当社の貴金属リサイクル事業における金の再生は過去3年間でその量が倍増し、前期は年間30トンの金を再生しました。金の再生を担当する坂東工場を金鉱山とみなせば、日本最大の金鉱山の産出規模をはるかに超え、全世界の金鉱山のランキングで5番目です。当社の営業および工場の努力は欠かせない要素でありましたが、当社がリサイクルにより産出した金の価格が鉱山から産出された金の価格よりも高くなったことが背景にあります。リサイクルの製品の価格が自然原料の製品の価格を上回るというのは画期的ではないでしょうか。その機序は、自然の姿を変えず、資源枯渇を防ぎ、二酸化炭素の排出がほぼないため、そこでサーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルが両立していることです。リサイクル生産に新文明的価値が見いだされたといっても過言ではありません。このような活動と成果こそ、当社が次代に向け、すべての事業領域において地球規模で希求するものです。
環境保全事業に関しては、2023年度において当社の連結子会社であったジャパンウェイスト株式会社を株式交換完全子会社、株式会社レナタスを株式交換完全親会社とする株式交換を行いました。当社が培ったジャパンウェイスト株式会社の全国規模のネットワークが株式会社レナタスの競争力を高めることを期待しています。2024年度以降はレナタスが持分法適用会社となり、持分法投資損益が営業損益として計上される見込みです。
2023年度は、売上収益3,223億円、営業利益124億円となり、期末配当金は1株当たり45円と決定しました。そして、これからの株主価値の実現と社会的な課題解決の同時追求のため、2030年に向けた戦略シナリオを4月26日に公表した「中長期ビジョン」において描きました。その実行に向けて精進して参ります。引き続き株主の皆さまのご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
2024年6月
AREホールディングス株式会社
代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)
東浦 知哉