企業活動上に顕在・潜在するさまざまなリスクを適切に管理するために、総合的な視点でリスクを把握し、評価および対策を実施しています。リスクマネジメントを推進することで、リスクの発生を未然に防止するとともに、危機に発展した場合の損失を最小限に留めるよう努めています。
コンプライアンス
コンプライアンスは公正な企業活動を実現するための重要課題であると位置づけており、法令遵守および企業倫理の徹底に取り組んでいます。
とりわけ、廃棄物の適正処理にかかわる事業は環境関連法令や行政の許認可にもとづいており、従業員一人ひとりが常に高い遵法精神をもって行動することが求められます。コンプライアンスに関する規程やマニュアルを整備するとともに、従業員教育や従業員コミュニケーションの場において一人ひとりの遵法意識の向上に徹底して取り組んでいます。
事業継続マネジメント(BCM)
大規模災害などのさまざまな要因によって当社グループの事業継続に必要な機能が低下するリスクがあります。当社グループでは、被害があった場合も早期に機能復旧を目指すためのアクションプランとして事業継続計画(BCP)を策定し、BCPや事業継続に関する取り組みを継続的に改善するための仕組みである事業継続マネジメント(BCM)の活動を行っています。
情報セキュリティ
営業員が使用しているパソコンやタブレット端末には最新のセキュリティ対策が施されており、万一端末の紛失や盗難にあった場合でも、リモート操作により情報削除を行うなどの手法で情報漏えいの可能性を限りなくゼロに近づけています。
内部通報制度(アサヒホットライン)
社内で違法・不当な行為を発見した時など、国内外のグループ会社全従業員からの通報を直接受け付け、その適切な問題解決を図るため、「アサヒホットライン」を設けています。
社内の窓口に加え、社外の法律事務所も窓口とし、匿名での通報も受け付けています。通報案件に対しては、通報者や被通報者の人権やプライバシー保護に配慮した上で調査を行い、是正措置を講じます。
反社会的勢力排除の取り組み
当社グループでは、コーポレートガバナンス基本方針において、「社会の秩序や企業の健全な活動に脅威を与える反社会的勢力に対しては、取引関係も含め一切の関係を持たないこと」「その不当要求に対しては、法令および社内規定に則り毅然とした姿勢で組織的に対応すること」を定め、全役職員に周知徹底しています。
贈収賄防止の取り組み
当社グループ理念である「AREグループウェイ」のゴールズにおいて、「世界から信頼されるコーポレートブランドの確立」と宣言し、当社グループ従業員が私的な利益のために、取引先や競合先に便宜を図るなど、贈収賄につながる取引等に関わらないことを徹底しています。
また、当社グループでは、「責任ある貴金属管理方針」を制定し、貴金属サプライチェーンにおいて、マネーロンダリングや不正取引などにつながる取引を回避する旨を宣言して実践するとともに、定期的に従業員教育を実施するなどの啓蒙活動を行っています。
リスクマネジメント
役員によるグループ全体の監督・監査
当社は、グループ会社の適正な業務推進を確保するために、さまざまな側面から当社グループ会社を適切に監督・監査する体制を構築しています。グループ会社における重要な業務執行にあたっては、グループ会社の代表取締役もメンバーである、グループ各社の事業執行会議において十分に議論した上で意思決定を諮っており、特に重要な案件については当社の取締役会に付議・報告しています。また、グループ会社の経営会議には監査等委員である取締役も参加して、自由闊達な意見交換を行っており、グループ会社の経営状況や営業活動等については、定期的に当社の取締役会に報告しています。さらに、当社の内部監査部門は、定期的または必要に応じてグループ会社の監査を行い、監査の結果を監査等委員会および関係部署へ報告しています。
グループリスク管理の強化
当社では、コンプライアンスを公正な企業活動を実現するための重要課題であると位置づけ、法令遵守および企業倫理の徹底に取り組んでいます。AREグループウェイで「挑戦しよう」を掲げ、新たに挑戦する領域を継続的に広げていく中、企業に対する社会の要請や価値観は多様化しており、今後も当社が持続的な成長を目指すためには、法令遵守のみならず、さまざまなリスクに対する管理強化が不可欠です。また、リスク管理の実践はフロントで行う一方で、管理基準の設定や現場のモニタリングはフロント部署から分離し、全社、グループ全体で統一した管理の枠組みを導入するなど、組織的な対応強化が必要になってきています。このような背景から、監査部を監査等委員会傘下に移管して、業務執行を牽制・モニタリングする機能の独立性を強化しました。また総務法務部がフロントでのさまざまなリスクを法的な側面からコントロールするなど、体制を強化してきました。今後もリスク管理のさらなる強化に向けた体制の整備を進めていきます。
グループリスク管理部門の設置
当社グループの事業遂行プロセス、業務構造等に潜在するリスクを適切に捕捉し、事業活動上のリスクの評価および対策をグループ横断的に実施するため、2021年4月よりグループリスク管理部門を設置しています。事業部門から独立した立場でコンプライアンスリスク管理等を促進するとともに、内部監査部門と連携して適切なガバナンスの強化に努めています。また内部統制推進会議・安全推進会議を定期的に開催するなど、コンプライアンスおよび安全体制を確立、リスクの顕在化を未然に防止しています。
北米精錬事業のリスク管理強化
北米精錬事業においては、精錬事業をプラットフォームとして、その周辺領域で業容を拡大するビジネスモデルの確立を進めています。中でも「前渡し取引」に代表される金融サービスは、今後も積極的に活用すると同時に、新たな金融商品の開発にも取り組んでいますが、その前提として、取引先の信用リスクを把握して、モニタリングする仕組みをしっかりとルール化する必要があります。また、反社会的勢力やテロ資金への資金流出を防ぐため、本人確認(Know Your Customer=KYC)の手続きも重要となってきています。このような取引先の信用リスク管理等の強化に取り組み、現地の体制強化を進め、当社の成長ドライバーの一つである北米精錬事業の拡大を支えていきます。